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統合失調症の診断・治療

統合失調症では知覚、思考、感情、意欲、行動、そして自他の関係が障害を受けます。社会的・職業的機能の低下もともないますが、全般的知的機能は比較的保たれます。

 

 幻覚:統合失調症では、意識が清明でありながら幻覚が生じます。幻覚のうち、最も頻度が高いのが幻聴で、会話調で、自分のことを噂しあったり、批評している声が聞こえます。自分に直接話しかけて非難したり、命令したり、教えたりすることも少なくありません。幻聴との間に対話が成立し、独語として認められることもしばしばです。幻聴は、何かに集中しているときには生じにくく、ふとした時に出現します。声の主、声の大きさはさまざまで、現実の声と区別がつく場合とつかない場合とあります。幻聴と対決することは困難で、それに従ってしまうことが多く、「死んでくれ」と聞こえると、首を吊ろうとしたりするので危険です。

 

 妄想:特徴的なのは関係妄想、他人の言葉や身振りや出来事が自分に関係していると感じます。「会社で皆が自分のことを噂している」、TVや新聞で自分のことを言われているという体験も多いです。被害妄想もしばしばみられ、「隠しカメラで監視されている」、「電波で操られている」、「毒を盛られている」などと訴えます。

 

 自我障害:「誰かに操られている」、とか「考えが相手に伝わってしまう」といった作為体験や思考伝播があります。自分自身の行為や状態が自分のものではなく、他者によって操られ、影響されたものであると体験されます。

 

 思考形式の障害:思考形式の障害は、思考がまとまりを欠き、部分的に意味があっても全体として論旨が一貫しません。会話が主題からそれて筋の通らない形となったり、質問に対して的外れだったりして、その程度が強くなると文脈は欠如し意味内容が相手にはほとんど理解できなくなります(支離滅裂)。また、会話の貧困、発語量の減少も思考形式の障害の一つです。

 

 感情障害:感情の表出は減退します。内面的にも、喜怒哀楽の感情の起伏が少なくなったと自覚されます。一般的に感情鈍麻とされます。また、物事への興味が低下し、無関心になりやすいです。しかし、ある面では驚くほど鋭い感受性を示します。

 

 意欲行動の障害:自発性の減退、発動性の低下はほとんど常に認められます。仕事、対人関係、自己管理などの面で機能が低下し、社会的、職業的水準が低下します。慢性期には終日臥床して無為に過ごす傾向がありますが、一方で衝動的な行為もあります。

 

治療について

何よりも大事なのは精神療法です。統合失調症の症状による不安と、疾患に罹患したという不安が重なり、多くの精神的な支援が必要となります。患者-医師関係を確立し、苦痛が理解され、心理的に共感が得られることで症状を緩和することが最優先です。

薬物療法は治療効果のエビデンスが高い治療法です。ですが薬物療法のみに頼る手法は、必ずしも予後を改善しないことを強く認識する必要があります。

多くの場合慢性化し、改善しても高い確率で再発することが知られています。急性期の治療として、精神療法に加え精神症状を薬物療法にてコントロールします。急性期の治療という短期目標と、QOLを維持しながら社会参加や就学就労につなげるという長期目標を設定し、目標に向かい治療を続けることが重要です。

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